2026年10月23日
公開日:2026年10月23日
朝晩の冷え込みを感じる季節になると、気になってくるのがインフルエンザの流行です。「子どもの頃は毎年打っていたけれど、大人になってからは受けていない」「仕事が忙しくて後回しにしてしまう」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
兵庫県西宮市、苦楽園口駅や夙川駅近くの平井内科医院院長の平井 暁男(ひらい あけお)です。当院では総合内科・循環器内科のかかりつけ医として、生活習慣病の管理から日々の体調不良、予防接種まで幅広く地域の皆様の健康をサポートしています。
インフルエンザは単なる「重い風邪」ではなく、大人にとっても時に命に関わる危険性がある感染症です。今回は、大人が毎年インフルエンザワクチンを受けるべき理由や、ワクチンの効果を最大限に引き出すための最適な接種時期について分かりやすく解説します。
なぜ大人も毎年必要?インフルエンザワクチンの重要性と予防効果
「一度かかったことがあるから大丈夫」「昨年ワクチンを打ったから免疫があるはず」と思われている方も少なくありません。しかし、インフルエンザワクチンは大人であっても毎年接種することが強く推奨されています。それには主に2つの大きな理由があります。
1つ目の理由は、流行するインフルエンザウイルスの型が毎年変化するためです。インフルエンザウイルスは非常に変異しやすい性質を持っています。世界中および日本国内の流行状況を予測し、その年に流行しそうなウイルスのタイプに合わせて、毎年ワクチンの成分が新しく作られています。そのため、昨年のワクチンで作られた免疫では、今年流行するウイルスに十分に対抗できないことが多いのです。
2つ目の理由は、ワクチンの予防効果の持続期間が約5か月程度とされている点です。接種後にしっかりと免疫がついたとしても、時間の経過とともに体内の抗体量は少しずつ低下していきます。前年の秋や冬に接種したワクチンの効果は、次の年の流行期には薄れてしまっているため、毎年打ち直して免疫を再獲得する必要があります。
また、インフルエンザワクチンの最大の役割は、単に「感染を100%防ぐこと」だけではありません。最も重要な目的は「もし感染してしまった場合の重症化や合併症を防ぐこと」です。ワクチンを接種しておくことで、高熱が長引くのを抑えたり、肺炎や脳症などの重篤な状態に陥るリスクを大幅に減らすことができます。さらに、ご自身が発症・重症化しないことは、ご家族や職場の方、周囲の高齢者などへの二次感染を防ぐという大切な社会的意義も持っています。
流行のピークに備える!ワクチンの効果を高める最適な接種時期
インフルエンザワクチンは、打った瞬間に効果が出るわけではありません。体内に入ったワクチンに対して体が反応し、十分な感染予防・重症化予防の抗体ができるまでには接種後から約2週間かかります。そして、獲得された免疫の効果は約5か月間持続します。
日本におけるインフルエンザの一般的な流行状況を見てみると、例年12月頃から徐々に感染者が増え始め、1月中旬から2月上旬にかけて流行のピークを迎えます。ただし、2026年のように流行の始まりが例年よりも早まる年もありますし、年によっては3月頃まで流行が続くことも珍しくありません。
これらの期間を逆算すると、インフルエンザワクチンの接種に最も適した時期は「10月中旬から11月下旬まで」となります。このタイミングで接種を済ませておけば、流行が本格化する時期には十分な免疫が整い、翌年春先までの流行期間をしっかりとカバーすることができます。
「12月に入ってしまったからもう遅いのでは」と諦めてしまう方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。ピークは1月以降に来ることが多いため、12月に入ってからであっても接種する意義は十分にあります。年内に受けておくだけでも、年末年始の帰省や人の集まるイベント、初詣などの感染リスクの高い場面に備えることが可能です。思い立ったタイミングで、できるだけ早めにご相談ください。
心疾患や生活習慣病をお持ちの方は特に注意したい重症化のリスク
循環器専門医としての立場から、私が特に強くお伝えしたいのは、心疾患や生活習慣病をお持ちの方におけるインフルエンザの危険性です。
インフルエンザにかかると、38度以上の高熱、激しい悪寒、激しい咳や全身の筋肉痛などが生じます。このとき、体内では強い炎症反応が起こり、交感神経が極度に興奮します。その結果、心拍数が急上昇し、血圧が乱高下するため、心臓に非常に大きな負担がかかります。また、強い炎症は血液を固まりやすくする傾向があります。
そのため、狭心症や心筋梗塞の既往がある方、不整脈や心不全、弁膜症などの持病をお持ちの方がインフルエンザに感染すると、持病の心不全が急激に悪化したり、急性心筋梗塞などを引き起こすリスクが高くなることが国内外の多くの研究で報告されています。インフルエンザは、単なる呼吸器の病気にとどまらず、心臓や血管の重大なトラブルの引き金になり得るのです。
また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をお持ちの方も注意が必要です。特に糖尿病の方は、感染症にかかることで体の免疫機能がうまく働かず、重い細菌性肺炎などを併発しやすくなります。さらに感染時のストレスによって血糖値が著しく乱れ、治療のコントロールが困難になることも少なくありません。
こうした基礎疾患をお持ちの方にとって、インフルエンザワクチンは命と日々の平穏な生活を守るための極めて強力な防御策です。「持病があるからワクチンを打っても大丈夫だろうか」と不安に思われるかもしれませんが、むしろ基礎疾患がある方こそ、優先的に接種を受けていただきたいと考えています。
体調に合わせた無理のない接種計画で冬を元気に乗り切ろう
インフルエンザ予防接種を安心して受けていただくためには、当日の体調管理も大切です。37.5度以上の発熱がある場合や、著しく体調が優れないときは無理をせず、接種日を延期しましょう。持病のお薬を内服中の方は、普段通りにお薬を飲んでいただいて構わないことがほとんどですが、主治医に普段の体調を伝えた上で接種を受けると安心です。
接種後は、注射部位の赤みや腫れ、軽い痛み、微熱などが見られることがありますが、通常は2〜3日程度で自然に治まります。激しい運動や過度の飲酒を避け、接種当日はゆったりと過ごすようにしてください。
西宮市深谷町の平井内科医院は、地域の皆様が体調の不安を感じた際に最初に立ち寄れる身近なかかりつけ医を目指しています。平日はもちろん、生活習慣病の定期通院に合わせて予防接種のご相談をしていただくことも可能です。当院は院内処方にも対応しており、お薬の受け取りに関する負担軽減にも配慮しています。敷地内には駐車場も完備しておりますので、お車でも安心してお越しいただけます。
冬本番を迎える前の備えが、ご自身と大切なご家族の健康を守る第一歩です。「今年のワクチンはいつ打つべき?」「持病があるけれど受けても大丈夫?」など、少しでも気になることがございましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
よくある質問
Q. 大人のインフルエンザワクチンはいつ打つのが最も効果的ですか?
2026年は流行が例年よりも早いので10月、11月には接種を完了しておくのが推奨されます。接種後抗体ができるまでに約2週間かかり、効果は約5か月間持続するため、1月〜2月の流行ピークにしっかりと免疫を合わせることができます。
Q. なぜ大人も毎年インフルエンザワクチンを接種しなければならないのですか?
インフルエンザウイルスは毎年異なる型が流行するため、その年の予測に合わせた新しいワクチンを接種する必要があります。また、ワクチンの予防効果は約5か月で徐々に低下するため、前年の免疫では防ぎきれないからです。
Q. 心不全や高血圧、糖尿病などの持病があっても接種できますか?
むしろ強く接種が推奨されます。循環器疾患や生活習慣病がある方は、インフルエンザ感染によって心臓への負荷が増大したり重症肺炎を併発したりするリスクが高いため、重症化予防のために事前のワクチン接種が極めて重要です。